ねこよりまるい | 性虐待サバイバー

性虐待サバイバーの体験記と日常。虐待から10年、元気に生きています。似た経験をされた方、他のことで辛い方、そうでない方とも繋がりたい。できる活動や勉強を少しずつ。

フラワーデモ ありがとうございました🌼

3/8 国際女性デー×フラワーデモ
スピーチしました。
温かいお言葉&お花を沢山頂きました。
ありがとうございました。

また、3/12に、娘に性行為をはたらいた父親が無罪判決を言い渡された裁判の控訴審名古屋高裁で行われます。14-15時にサイレントスタンディングをするそうです。途中参加&退出可です。


以下、スピーチした内容です。
長いですがご一読頂けると嬉しいです。
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このフラワーデモにであうまで、
自分の被害をオープンな場で話すことは考えられませんでしたが、
デモの様子を見ていて私もお話したいと思うようになりました。
私が経験したことを、聞いてください。

私は父親から性虐待を受けていました。
被害は6歳頃から10年続きました。私にとって家は、安心してお風呂に入ったり眠ったりできる場所ではありませんでした。

性被害の苦しみは、被害を受けた後も長く続きます。家を出た後も、フラッシュバックが頻繁に起き、まるで被害を受け続けているような感覚で、学校に通えなくなり布団から出られなくなりました。

自分は汚れていて価値のない人間だと思っていたし、こんな自分がこれから生きていくことに、ものすごい苦痛と不安を感じていました。

幸い私は私の話を聞いてくれる方たちと出会えて、日常生活を送れるようになりました。
今も1人で苦しんでいる子がいると思うと、早く安全な国になってほしいと思います。

特にショックだったのが、フラワーデモの発端ともなった、娘に性行為をはたらいた父親の、無罪判決です。被害者は抵抗できたはずだから父親が無罪となったと聞いて、怒りとショックで体が震えました。やっとの思いで裁判を起こしたのだろうに。法治国家のこの国で、罪が罪と認められないようでは、どうやって安心して生きていけというのでしょう。

私も10年間の中で、抵抗することを考えたことはありました。
でも、ハッキリ「やめて」と言ったら、父との関係が悪くなって、進路の相談ができなくなるのではないか
警察に相談したら、父親は仕事を失い自分も家族も生きていけなくなるのではないか
私が我慢すれば、家族みんな平穏に過ごせるのではないか
などと考えると、抵抗は出来ませんでした。

それでも時々、父親が部屋に入って来れないように扉の前に家具を置いたりしました。それが当時の私の精一杯でした。
でも被害は止まず、そのうち、仮初の平穏がつづくならばと諦めて、日常化した異常な状態を受け入れて、考えることを止めました。
現状を受け入れてしまった自分にも嫌悪感を抱きました。

子どもにとって親は世界の全てです。その親にハッキリとNOをつきつけた先に、安全な世界が待っている保証もないのに、親に抵抗できる子どもがどれだけいるでしょうか。私の場合は加害者は親でしたが、加害者が誰であっても抵抗は容易ではありません。

言葉を尽くしても、その途方もない生きづらさを負わされる性被害の苦しみを、説明しきることは出来ません。

それでも、裁判官など、性被害に関わる人には特に、その実態を知って欲しいです。実態にみあった判決をくだしてほしい。

なぜ、「抵抗できたかどうか」を人から決められなくてはならないのでしょう。
なぜ、性犯罪はこんなに被害者に厳しいのでしょう。
加害行為をする人間に非があるはずです。
同意のない性行為はすべて犯罪としてほしい。
同意年齢というものがありながら、それまでに何も学校で教えられない現状にも疑問を感じます。
性犯罪の刑法の多くの課題点が、被害者目線で改善されてほしいです。

性被害の苦しみを知った私の願いはこの社会が、加害者も被害者も産み出さない社会になることです。それは、一人一人の人権意識が問われることです。この国には人権教育としての性教育がありません。
お互いを尊重すること、私もあなたも大切な存在、そこを出発点として、子どもたちが、自分の体と、大切な人の体を、守るための知識を身につける必要性を感じます。

私が話を聞いてもらえたように、
みんなが誰かに話を聞いてもらえる社会であることを望みます。性被害にあったことをカミングアウトされると反応に困り、思わず目を背けたくなるかもしれません。
でも、ただ否定せずに静かに隣で聞いてもらえるだけでその人が少し救われることを知って欲しいです。

そして、この社会が、傷ついた人の話を聞けるようになってほしいです。

これ以上誰かが1人で泣くことのないように、
よりよい社会を次の世代に渡せるように、私も性教育に携わるなどできることをやっていきます。

過去に、被害の苦しみに孤独で震えて泣いていた私にとって、1人じゃない仲間がいると思えることはとても励まされることです。このフラワーデモにも沢山の勇気をもらいました。
これからも皆さんと一緒に声を上げていきたいです。ありがとうございました。


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