ねこよりまるい | 性虐待サバイバー

性虐待サバイバーの体験記と日常。虐待から10年、元気に生きています。似た経験をされた方、他のことで辛い方、そうでない方とも繋がりたい。できる活動や勉強を少しずつ。

以前の取材を振り返って

猛暑が続きますがいかがお過ごしでしょうか。


数ヶ月前、性被害についての取材を受けました。
気づきもあったので備忘録がてらまとめたいと思います。


【取材の主旨】
娘に性行為をはたらいた父親が無罪になった判決を受けて、
性的虐待の被害の実態 と
・父親に抵抗することの難しさについて
話を聞きたい


【質問内容】
1 当時の被害状況、心境
2 被害による影響
3 親に抵抗できなかったのはなぜだと思うか
4 どのようにして今の状態に至ったか
5 性虐待サバイバーが必要とする支援について
など


質問内容に答えられるように記憶の掘り出し作業と、思いを言葉にする作業を行った。


覚えている事実は出てくる。

ブログで掘り出し済みのものも割りと容易に出てくる。

しかし、こういう時の心境はどうでしたか?
と細かいところを突っ込んで聞かれると

自分でも驚くほど出てこない。

当時の記憶は写真や短い動画のように、
切り取られた状態でしか残っていないからだ。

当時の気持ちも。
切り取られた以外のところを聞かれると
「どうだったかな…」としか言えない。


一度、死んだつもりで生きているからかな
精神状態が駄目すぎたから記憶が曖昧なのかな

(それとも時間が経っているから、人の記憶力としては自然なことなのかな)


いい加減なこと言えないし、どうしよう。


ということで
前置きとして釈明させてもらった。
↓↓↓

「実はかなり忘れている。
はっきり言えるのは、
例えようもなく辛かった、
ものすごい嫌悪感に取りつかれていた、
ということ。
自分を守るために忘れることを選択したのかなと思う。

今は、当時と違う人生を歩いている感覚。
人生の第一幕で、そういうこと(虐待)があって
それが終わって、今、第二幕を生きている。

だから、掘り出し作業をする必要がある。
他人事のように話をすると思う。

本当のことだけ言うようにしたい。
けれど、今実際に苦しんでいる人がリアルで、
私は、そうではない。」

というようなことを言わせてもらって


これで少し安心して話せました。



取材後、

当時の日記や診療メモなどはありませんか?

との連絡が。



そういうの、ないんです。。

思い出すと辛いものをすぐ捨ててしまうから。

でも探して探したら

父親からの手紙
親と写ってる写真
古いスマホからメールのやり取りと診療メモ

が出てきました。


取材より、これらを見た時の方が

心がザワザワして一気に不安定になりました。


不思議です。
何聞かれても
他人のことを話すように話せたのに。

当時のものって生々しい。

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自分だからできることがあるかもしれない。
と、思っていた時期がありました。思い上がりでした。

性被害者の支援がしたい、被害をなくしたい、
何かしたいしたいと思うほど

そんな力ないって半端じゃない無力感に襲われる。

特に被害を目の当たりにした時。
被害にあうのと、外から被害をみるのは別物でした。
痛いだろうな、苦しいだろうな…と胸が締め付けられても
その人の辛さはその人だけのもの。

立ち上がるのも歩くのも、支援制度を受けるのも
その人自身が決めること。


私には、知識も資格も経済力も人を癒す言葉を紡ぐ能力も支援に繋げる力も何もない。


だからって
何かしたい気持ちはなくならないので

そういう、自分の今の立ち位置が分かることで
やるべきことが見えてくる…

って前向きに受け止めたらいいかなぁ。


独学には限界がある。
講習会に出たい… 交流したい…