ねこよりまるい | 性虐待サバイバー

性虐待サバイバーの体験記と日常。虐待から10年、元気に生きています。似た経験をされた方、他のことで辛い方、そうでない方とも繋がりたい。できる活動や勉強を少しずつ。

赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア

トラウマはどうして起きるのか

また、どのように付き合っていけばよいのか

知りたくて、この本を手に取りました。


赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本

 

表紙のイメージ通り読みやすく

一方で、トラウマに関してかなり詳しく説明されていて、分かりやすかったです。

 

読んだ内容を一部紹介します。

 

 

トラウマ=悪ではない

 

 トラウマと聞くと悪いイメージがありますが、

「似た状況を避けようとする」

「フラッシュバックを起こすたびに、周囲にその危険を何度も伝える」ことは

自分を含め、みんなの安全につながることで

私たちが生きのびるために兼ね備えている仕組みでもあります。

 

しかし困ったことに

トラウマは日常生活に支障をきたすこともあります。

 

トラウマ記憶は冷凍保存される 

 

 普通、人の記憶は時間と共にセピア色に薄れていきますが

トラウマ記憶は違います。

 

トラウマ体験は、脳内で一度に処理するには容量が大きすぎます。

そこで脳の中で冷凍保存されて、普段の記憶とは別の場所にしまわれます。

「解離」といういつもの自分とは隔てられた場所で

なるべく思い出さないようにしまい込まれます。

 

しかしこの記憶は、何かのきっかけで瞬間解凍されます。

少しずつ解凍されることはなく、一度にすべてが溶けて

トラウマを受けた時の五感、感情、認知や思考がそのまま一気によみがえります。

まるでそのできごとが、今起きているかのように生々しく再現されます。

フラッシュバック)

 

 

PTSD(トラウマ体験による後遺症) 

 

単一の事件(犯罪被害や交通事故)によるトラウマから起こる症状では

再体験症状(無意識に記憶がよみがえる)」「過覚醒症状(神経が高ぶる)」

が強まる傾向にあります。

 

また、虐待やDVなど長期にわたって慢性的に繰り返されるトラウマの場合は「麻痺」「解離」が強く出ます。(複雑性PTSD

 

日常的なトラウマ体験の中で、「感じなくて済む(麻痺)」「それが自分ではないようにすることで自分を守ろうとする(解離)」のですが、それは一時しのぎにすぎず

むしろその結果

感情の調節が難しくなったり

自己破壊的な行動をしたり

自己イメージや対人間関係に問題が生じたり

といった障害が現れてきます。

 

トラウマの治療①フラッシュバックが起きたら

 

フラッシュバックが起きた時、

これは症状なんだ」と気づいていることが重要です。

過去のつらい体験がよみがえってきたとしても、

つらかったのは「あのとき」であって「今」ではない。

「これは症状だ」と分かるだけでも、落ち着きを取り戻すことができます。

 

トラウマ治療は過去の傷を治すことだと思っている人もいますが、

過去は変えることは出来ません。

トラウマから回復するということは

「過去の傷に影響を受けている今」を変えることです。

 

 

トラウマ治療②語ることで記憶を再編集

 

 批判されない安全・安心の中で

トラウマ体験を語ることはとても意味のあることです。

相手を信頼して語ることができたら、

徐々に感情が出てくるかもしれません。

あのときは本当に怖かった…」と感情を交えながら語ることができたら

情動の記憶が揺さぶられ、記憶の形態が変わり

具体的な五感や感情が消化されていきます(トラウマの処理

 

記憶は常に改変されています。

語るたびに焦点が移ったり、

自分にとっての意味が変わったりします。

 

トラウマ記憶も安全な場所で何度も語るうちに、

それにまつわる感情や感覚が整理されて、

今を侵食することのない過去の物語記憶になっていくのです。

 

話すことはもちろん、ブログに書いたりすることも、

とても意味のあることだと分かりました。

 

 

 

 本の冒頭で特に印象に残った内容を紹介しました。

自分の心や誰かの心の声を聞く際に

とても大切なことが書いてあったと思います。

 

 

本には慢性トラウマの詳しい症状や、回復のステップなども書かれています。

詳しく知りたい方にオススメです。

 


赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本

 

 


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