虐待、その後(終)
新しい土地での生活が始まりました。
「あれ、こんなに楽に生きていいの?」
「人生って楽しんでいいの?」
しばらくすると、こんな風にあれっと思うようになりました。
日常の中に親の影がない
それだけで、今までの息の詰まるような毎日が
楽に呼吸ができる毎日に変わりました。
辛いことがない訳ではないのだけど
でも、住んでる世界が違うような。
前提が変わるような感覚でした。
義実家の印象は温かくて
最初は「こんな家族って現実にあるの?ドラマだけじゃないの?」と信じられませんでした。
お互いのことを大事にしながらも、大人も子どもも、ビクビクせずに好きなことを発言していました。
団らんの光景が私には眩しすぎていたたまれなくて、なぜか泣けてきてしまったりして困りました。
私のことも家族の一員として受け入れてくれました。
子どもの頃から「好きなことにお金を使うことは悪いこと」と教えられました。
加えて、楽しいことが楽しいと思えないくらい病んでいました。
それに、自分がどんな人間なのか、何が好きなのかもよく分かりませんでした。
趣味にお金を使うのに、罪悪感や虚しさを感じてしまって、心から何かを楽しむことがなかなか出来ませんでした。
でも徐々に、自分の好きなことが何なのか分かるようになりました。
旅行に行きたい、ダイビングがしたい、ライブに行きたい
前よりも「色んなことをやってみたい。楽しい」と思えるようになりました。
心が健康だと、楽しいと感じられる。
楽しいことが楽しいってものすごいことだと思いました。
死ぬことばかり考えていた私は
普通に過ごせることにーーー
安心出来る家があって家族がいて、働くことが出来て、ご飯が美味しくて、やってみたいと思えることがあって、それが否定されなくて、(限度はあるけれど) 、それを楽しめることに
幸せを感じています。
結婚して2年経ちました。
これまで、なんで私は私なんだろう、と苦しかったけれど
今では、私は私でよかったと思えるようになりました。
自分と周りの人を大事にしたい。
そのためには、自分が元気でいることが1番大事、と思っています。
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ここまで読んでくださってありがとうございました。
体験記を一通り書いたので、これからは
日常のことや、虐待についての話、
その他 雑記、思ったことなどを書いていこうかなとぼんやり考えています。
体験記のようには書けないのでペースも落ちると思いますが
引き続き、虐待サバイバーの私が生きている様子を見ていただけると嬉しいです。
余談ですが、初めて虐待サバイバーという言葉を聞いた時、とてもしっくりきて私はこの名称を気に入りました。
被虐待児と聞くと、被害者としての私でしかないような印象を受けます。
一方サバイバーは、生き残った人です。
傷を負って死にかけたけど、死ななかった。そして今も生きている。
私は元被虐待児 というより
私は虐待サバイバーだ と言う方がやっぱりしっくりきます。
とは言っても、こんな思いする子はもういないでいてほしいです。
世の中から虐待がなくなってほしい。
虐待だけではなく、つらい思いをしている人みんなが元気に過ごせるようになってほしいです。
つらい人がいたら、誰か話せる人に出会ってほしいし、私で良かったら聞かせてほしいです。
どんな雑談話でもかまいません。
もし話したいなと思ってもらえたなら、気軽に話しかけてもらえると嬉しいです。
私自身も、より元気になれるようにできることをしていきたいです。
それでは、
今日が良い1日になりますように。