殺せないなら私が死にたかった
★名前 さき
★性別 女性
★年齢 27歳
★職業 主婦
父へ
小学校にあがったころ寝ている私のショーツの中に手を入れてきたの今でもよく覚えている。あなた、あれから毎晩のように私の体を触りにきましたね。
そのうち私の体を舐めだしたりと行為がエスカレートしていって、どんどん時間も長くなって、写真撮ってたの、あれどうしようとしたんですか。
ねぇ私の気持ち1回でもちゃんと想像したことありますか?
今でも思い出す。
あなたが鼻息荒くして部屋に入ってくるところから
興奮しながら行為に及ぶ、手の感触、私は恐怖で硬直して、気持ち悪くて早く終われと願うしかなかった。
10年経った今でも鮮明にフラッシュバックすることがあります。
想像できますか。
そんな父親に頼らなければ生きていけないことがどんなに屈辱だったか分かりますか。
あなたのことが好きで機嫌とってたわけじゃない。
あなたの機嫌を損ねれば、日常生活が脅かされるからですよ。
よくも偉そうに父親ヅラできましたね、厚かましい。
不倫までして、家のお金を使い込んで借金つくって、それで何であんなに偉そうにできたのでしょう。
毎日毎日ちょっと気に入らないと怒鳴り声あげて、うんざりでした。
それで今でも感情的に怒る人がいると自分が責められているみたいですごく怖いです。あなたのおかげです。
あんなこと10年もされて、私は自分が正しく愛されないのは私に価値がないからだとしか思えなかった。
自分の家なのに、安心してお風呂に入ることも眠ることもできない、そんな生活が続くこと、ちょっとは自分の身に置き換えて想像してみたらどうですか。
あなたのこと殺したくて殺したくてしょうがなかった。
包丁で喉元めった刺しにすること何度も思い描いた。
でも、あなたなんかのせいで殺人犯になるのも癪でどうしても殺せなかったから、いっそ自分が死にたかった。
高校生の時、おばあちゃんの家に逃げたけれど、逃げ場所がなかったらどうなっていたか。
あなた一回手紙書いて謝ってきましたね、その時愛してるとか言って抱き着いてきたけど、あれものすごく気持ち悪かったです。
性犯罪の加害者に抱き着かれたら怖いし気持ち悪いんですよ。
全身ゴキブリが這うみたいにぞわっとしました。
あなたの魂胆は分かっています。自分の欲求は止められないから好き勝手するけれど、でも許して、嫌わないで、でしょう。
私の気持ちなんか全然考えてないのはすごく伝わってきました。
いつも自分のことしか考えていませんでしたからね。
「少しでも許してもらえたら」とか言っていたけれど、
許せる許せないの問題じゃない。
あれからうつにもなった、まともに働けなくなった、大学にも通えなくなった。
生きているのがすごくつらくて何度も死ぬことを考えた。
あなたの軽率な行動のせいで、人生めちゃくちゃになって大変だったんです。
その自覚はありますか。
今でも死んでほしいと思います。
楽に死なないで、激しい後悔や懺悔に苦しみながら死んでください。
二度と私の日常に顔を出さないでください。
母へ
あなた私が父親の行為に苦しんで「助けて」って泣いて頼んだとき
「男ってそういうものだ」って言いましたね。
すごく勇気出して告白したのに、守ってくれませんでしたね。憎しみは消えません。
それと、あなたは私の身なりや持ち物への関心が極端に低い人でしたね。
学校で恥ずかしかったです、丈の短くなった体操着、可愛さゼロの持ち物。
何を買ってと言っても「わがまま言うな」「贅沢だ」と、とにかく私の希望に対して否定しかしませんでしたね。
お陰でいじめにあいました。とても惨めでした。宗教には何百万という単位で簡単にお金を出すのにね。
いじめにあっていると言っても何も買ってくれなかったのは、私がいじめられていてもどうでもよかったということですか。
兄に対しての方が優しかったですね。理由を聞くと「お父さんが(私)に甘いから」
性的対象に見られているのに、そんな人間が猫なで声で話しかけてくることなんて、喜べるわけないでしょう。
あなたは私の話を聞かない、いつも自分の自慢話をする人でしたからね、人の悲しみや怒りにとても鈍感なあなたには、私の気持ち分からなかったでしょうね。
学校にも家にも居場所がなくて、毎日消えたい消えたいとばかり思っていた。
私が病んでしまった時も「うつは気の持ちようだ、怠けるな」と言い、
父の行為については「昔のことをいつまでも言うな」「忘れなさい」と傷をえぐることしか言ってきませんでしたね。
そして「こう生きるべき」と最後までレールの上を歩かせようとしましたね。
「あなたを心配して言っている」とよく言っていたけれど
自分の思い通りに生きてほしい、自分が安心したいだけでしょう
心配なんて、顔色見てから言ってほしかった。
私死にそうになっていたのに。
私はあなたに母親らしい言葉をかけてほしかったんです。
母親らしい対応を求めていたんです。
寄り添ってほしかったんです。温かく守って、慰めて欲しかった。
それってそんなに望んじゃいけないことでしたか?
その期待がなかなか捨てられなくて苦しかったです。
期待を捨てきれて、やっと楽になれました。
あなたから離れられて呼吸が楽になりました。
もうあなたはあなたで好きに生きたらいい。
だから私の人生に口出ししないでください。
さようなら。
●みんなの「親への手紙」プロジェクト 10月31日〆切
http://letters-to-parents.blogspot.com/2014/08/2018minna-tegami.html